みなさんはじめまして。
陰glish BLOGです。
どんな人間なのかは
以下のスペックをご覧ください。
[スペック]
・アラサー
・無職
・英検1級/TOEIC990
・元学校教員/元塾講師
・海外経験一切ゼロ。パスポート持ったこともない。
・友達はもちろん少ない。
要するに、英語ができる日陰者です。よろしければ、Twitterもフォローお願いします。
今回は、ちょっと恐れ多いんですが「受験英語の神」と呼ばれる伊藤和夫先生の代表作、『英文解釈教室』を
①英文解釈教室とは、どんな本なのか
②結局、英文解釈教室は、何がすごかったのか
③英文解釈教室を、今使うのはアリなのか
の三点セットに分けて、なるべく端的にレビューしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
あんまり肯定的なレビューにはならないので、ちょっと反応が怖いですね。。。
Contents
英文解釈教室そのものに入る前に、前語り
『英文解釈教室』がどんな本なのかってのを語るためには、伊藤和夫先生ってのがどんな人なのかを語る必要があります。そこから行きましょう。
伊藤和夫とは?
(※以下、歴史的偉人を扱う際の慣例に習い、敬称略とします。)
伊藤和夫(1927~1997)の生涯を、失礼を承知でザックリ書くと
・旧制第一高校に入り
・東大に英語無しの試験で入り
・その後、駿台予備校英語科に入り英語科主任に
という経緯を辿った方です。
実は、「英語無しの試験」で入ったってのがミソなんですよね。
そのおかげで、当時の受験で主流であった、「熟語的表現をまとめただけ」であったり、「読解への応用性」を無視してまとめあげただけであったりといった、伊藤和夫以前に「英文解釈」と呼ばれていたような勉強を、通らないで英語と向き合うことができたんですよ。
そんなこんなで、皮肉にも、既存の形式に触れなかったおかげもあり、独自の体系を作り出した伊藤和夫。
そして、自身の読解体系の集大成として1977年に世に放ったのが『英文解釈教室』だったのです。
ちなみに『英文解釈教室』以前にも、『新英文解釈体系』という本を出版しているのですが、これはすぐに絶版になってしまい、いまでは10万円を超す超プレミア価格で取引されているとか....
『英文解釈教室』-その革命性:頭の使い方へのフォーカス-
で、『英文解釈教室』は、1997年に解説を詳しくする一度目の改訂、2017年に邦訳の微修正という二度目の改訂を挟みながら、40年以上も市場に出回り続けているってわけです。
そんな売れ続けている『英文解釈教室』、何がすごかったかって話ですよね。
具体例ファーストの方が分かりやすいと思うので、ちょっと僕に説明の真似事をさせてください。
[ここから真似事]
The girl called Mary loves Tom.
説明①→called Maryは、過去分詞の後置修飾としてThe girlにかかっている。lovesをV、TomをOとして続けて読み、「メアリーと呼ばれているその少女は、トムを愛している
。」説明②→前置詞の付いていない名詞であるThe girlをSと確定し読み始める。仮にcalledをVと思って読み進めたとしても、lovesは絶対に述語動詞にしかならないため、lovesを見たところで方針転換。callは第五文型を取れる動詞であり、後ろに目的語を伴って後置修飾を作ることができるためThe girl (called Mary) loves Tom.と考えなおす。 「メアリーと呼ばれているその少女は、トムを愛している。」
[ここまで真似事]
はい。説明①と説明②の違いですが、説明①は「結果の提示」に終始していますが、説明②は、「英文を読むときの、基礎文法を元にした、頭の使い方」にフォーカスしていますね。
そうなんですよ。『英文解釈教室』は、まさに、「説明②の読み方(=基礎文法の実際に英文を読む際の使い方)をはじめて体系立てた」本だったのです。
そして、『英文解釈教室』の出現以降、今までの英文解釈書は、徐々に駆逐されていくこととなりました。
このような読み方は、今なお、大学受験英文解釈書に多大なる影響を与えています。
だからこそ、伊藤和夫は「受験英語の神様」と呼ばれるにまで至ったのです。
『英文解釈教室』そのものの話:まず総評
これで、やっと『英文解釈教室』そのものの話に入れます。。。
お待たせしました。やっと英文解釈教室そのものの話に入ります。これも、結論ファーストで行きましょう。
・英文解釈教室のレベル
「受験に必要な最難レベル(例:ポレポレ/透視図)」
よりちょっと上
・英文解釈教室の解説
決して良いとは言えない。
突っ込みどころも多数。
・英文解釈教室の問題量
多い。
・英文解釈教室の使い方&総評
受験生は他に
よっぽどやることない場合を除き非推奨。
英語学習者が『ポレポレ/透視図』を終えた後に
演習用として使うなら可。
なんかそんなに、『英文解釈教室』への評価高くないように見えるかもですね。。。順に語っていきます。
『英文解釈教室』のレベルに関して
『英文解釈教室』の レベルは、高いです。
今ほど参考書に種類が無い昔の受験生は、英文解釈教室に齧りつくしかなかったと考えると、「しんどかっただろうね~」って心から思います。
ただ、テキトーにググると、「英文解釈教室は今の入試には難しすぎ。やる必要ない。」みたいなレビューも目立ちますが、そこまでではないとも思います。
具体的には、「入試最難関レベル(『ポレポレ英文読解プロセス50』や『英文読解の透視図』)」がこなせていれば、まあ、普通に、『英文解釈教室』にもついていくことはできるレベルなんじゃないかな、と思います。
僕自身も、受験期はポレポレをやり、大学入学後に透視図→英文解釈教室とやっていったのですが、特に大きな躓きは感じませんでした。
『英文解釈教室』の解説に関して
ハッキリ言います。今の基準としては、英文解釈教室の解説は「そこまで良くない」です。
「そこ解説ないのかい!!!」ってことも、「いや、そこ、そんなにクドクドと書かなくても。。。」ということも、英文解釈教室にはどちらも多数ありました。
特に気になるのは、英文解釈教室の『はしがき』において『英文→日本語訳→事柄という順番から離陸し、英文→事柄→(必要なら)日本語という順を辿る、「直読直解」を目指さなければならない』という趣旨の文言があるにもかかわらず、結構な頻度で、「ここはこう訳す」という記述のみの解説が見られることです。
発売当初は「基礎文法を実際にどのように英文を読む際に使っていくか (=頭の使い方)」という観点からの記述がある本がなかったから、『英文解釈教室』をやることに多大なる意義があったんだろうと想像します。
ただ、今は、それこそ『ポレポレ』や『透視図』を始めとする、「頭の動かし方」に注力した名著が数々あります。(※ちなみにこれらの参考書には『英文解釈教室』と英文のパクり被りが多々見られます。大いにパクって参考にしていることが見受けられますね。)
『英文解釈教室』は、『偉大なる先駆者』でした。それは間違いありません。
ですが、学習者目線では、『英文解釈教室はもはや乗り越えられた』と言ってもいいのではないかと、そう思います。
じゃあ、今日における 『英文解釈教室』の使い方は?
『英文解釈教室』は、非常にボリューミーな教材です。
じゃあ、その、英文解釈教室のボリューム性を活かして、『ポレポレ』や『透視図』が終わった後の、演習用教材として、解説のうち、分かり切っているところは軽く流し読みしながら使っていくのがいいのではないでしょうか?
というか、軽く先述した通り、まさに俺がそう使いました。英文解釈教室をやり切ったころには、英検1級長文が0~2ミスくらいで安定するようになったので、効果はあると思います。
ただ、受験生は慶応SFCとか国際教養大とかの「英語が超重要な最難関大学」志望じゃなければ、『英文解釈教室』をやってる時間があれば他教科やれ!って感じですね。。。
なんか、伊藤和夫先生にあまり敬意のない使い方ですが、伊藤和夫先生および英文解釈教室あってこその、今の充実した参考書生活です。
敬意を払いながら、『ポレポレ』や『透視図』をメインに、『英文解釈教室』をサブに添え、英語学習に励みましょう。