みなさんはじめまして。
陰glish BLOGです。
どんな人間なのかは
以下のスペックをご覧ください。
[スペック]
・アラサー
・無職
・英検1級/TOEIC990
・元学校教員/元塾講師
・海外経験一切ゼロ。パスポート持ったこともない。
・友達はもちろん少ない。
要するに、英語ができる日陰者です。よろしければ、Twitterもフォローお願いします。
さて、だいたい1213年ぶりの更新となりました今回のブログですが、扱わさせて頂くのは、ついに出ました『英語のハノン フレーズ編』でございます。
物事を伝える基本として、とりあえず結論から書きますと、「今までの『ハノン』シリーズの弱点をカバーする教材としても、単独利用する教材としても、極めて優秀」という評価です。
なぜにそんな感想を抱いたか、なるべく誰にでも伝わるように、しかしながら情報の精度に妥協なく、そんな今までのノリで書きますので、よろしくお願いします!
以下、「そもそも『ハノン』ってなんだよ」ってこととか、私の『ハノン』への絶大な信頼とかは、伝わっている前提で文章を書きますので、その辺が『???』という方は、まずは以下をご覧ください。
Contents
前提として:『英語のハノンシリーズ』が今まで抱えていた弱点
以下、『弱点』とは書きますが、非難の意図は一切ありませんこと、先に承知ください。本の構造上、どうしてもしょうがないものであった、それに尽きます。
とりあえず、今までの『英語のハノン』シリーズは「いわゆる学校英文法に基づく英語体系を、口頭(=会話)で扱える形で、すべて網羅する」って構成であったと思います(※この日本語は伝わる前提で行かせてください。伝わんなかったら俺の過去ブログ読んで)。
この形で行く以上はどうにもしょうがない弱点として、以下のようなものがあげられます。
弱点1:利用頻度が高いものを重点的にトレーニングする構成にはなり得ない
もう一回、念のために書きますが「本の構造上、どうしてもしょうがない」んで、非難の意図はないですよ。。。。
『英語のハノン』シリーズは、学校英文法を網羅的に扱うという構成である以上『実際の会話や英作文の流れの中で、よく使う文法事項、表現』へのフォーカスがされているわけではありません。
やや正確性を欠く喩えかつ、他教材の名前を出して恐縮ですが、フォ〇ストとかエバーグ〇ーンとかをイメージしてみてください。
『これは超絶よく使う!!!!!!』という事項と、『ああ、まあ、たまに見るよね~~』くらいの事項が、同じくらいの紙面の大きさで扱われていると思います。
また、1つ1つの文法、表現のためだけにまとまった英文を持ってくるわけにもいかない都合、実際の英語の文脈の中で、各事項が説明されるってことも、ゼロとは言わないですが、あまり多くもないと思います。
それらと同じように、(最低限の発音法とか、五文型や品詞といった骨格オブ骨格によく焦点が当てられていることを除けば)「網羅教材」であるがゆえに利用頻度、言っちゃえば「コスパ」や、「文脈」に注目したトレーニング教材ではない。」今までのハノンは、そういうものでした。
何ならそもそも『頻度が高くなくとも、イザというとき使えるようにトレーニングする』って教材だと思うんで、ココを弱点として抱えるのは、まあもうしょうがないんですけどね~
弱点2:「学校英文法」をはみ出した分野に関してのトレーニングは薄い
「学校英文法」ってのも、色んな意味で使われる言葉なんですが、ここでは「全要素が品詞と五文型で分類できる体系」ってことで、よろしくお願いします。
弱点1と本質的には同じっちゃ同じなんですが、『フレーズ編』本文中で使われている例を借りますと、例えばNo kidding!って有名な表現があるじゃないですか。
えーっと、noってゼロを表す形容詞で、実はkidには動詞があって、それが動名詞化されたうえで、完全に名詞として扱われるようになって。。。。(注:テキトーに書いてます。以上が正しいかは、知りません。)
まあ、こういうことを考えるの、楽しいには楽しいとは思いますし、その楽しさを否定するつもりもありませんが、英語運用力を鍛えようって側面から眺めるとなかなか、そんなに、意味はないですよね。
「いいからNo kidding.でとりあえず覚えておけや」に尽きます。
こういうような、『「学校英文法」で有意義に説明できる域ははみ出しており、とりあえず覚えて使えるようになったほうがいい』ってものは、捨象されていた。それが今までの『ハノン』でした。
じゃあ『英語のハノン フレーズ編』は?
やっと本題です。前置きが長いですね。
こちら、私が筆を尽くすよりも、『フレーズ編』の本文をそのままぶっこ抜いてきちゃったほうが、よく伝わるでしょう。
この本の特徴
『英語のハノン フレーズ編』P9より引用
『英語のハノン』フレーズ編では、主に下記の5種類の表現を扱います。
1.チャンク(かたまり)の状態で使えるようになるべき表現
2.一般的な文法ルールからはずれた表現
3.補足的な文法を増やすための表現
4.バリエーションを増やすための表現
5.会話の生き生きとしたフロー
聡明であろうこのブログの読者の皆さまならわかると思います。さっきまで私が難癖つけたてた弱点が、キレーにカバーされる形になっているの、わかります?
ここで、結論を、もう一回、パラフレーズしながら書いてみます。
『英語のハノン フレーズ編』は、今までのハノンシリーズが構造上抱えていた欠点を、ハノンレイアウトでのトレーニングを踏襲ながら訓練したり、場合によっては、『ダイアログ形式のドリル』という新たな形を用いたりしながら、綺麗に補完するものとなっています。
また、引用1,2,4,5あたりの事項に関しては、今までのハノンシリーズの完成を前提とせずに、『フレーズ編』だけを習得しても、それはそれで英会話教材として大いに効果をもたらす事項でしょう。
「それじゃ別に今までの英会話教材と違わなくない?」と思うかもしれませんが、『英語のハノンフレーズ編』は、やはり『ハノンシリーズ』だけあり、『「ドリル」が実際にCan-DoになればOK』という、学習者にとっての明確なゴールが設定されています。
言い換えると、「これがよくつかわれる表現だよ!覚えてね!覚え方は各自に任せます!!!」というような、結局学習者は何をどうやってその表現を身に着けりゃいいんだってなりがちな、ありがち英会話教材とは、何すりゃいいのか明確って意味で、一線を画しています。
だからこそ、『単独の英会話教材』としてみても、優れたものであると、少なくとも私は考える。そーいうわけです。
私の根本的思想として、一般的学習者は放っておくと変な教材の使い方をするから、「使い方」が学習者にとってシンプルな教材は、すなわちいい教材だっていう、そんな考えがあります。ハノンシリーズは、とにかくそこが明瞭なんすよ。
『英語のハノンフレーズ編』 実際どんな中身なの?①ダイアログドリル
『英語のハノン フレーズ編』は、全21Unitあります。各ユニットの頭には、アメリカの大学生である、ユキさんとブライアンさんの対話が載っています。
また、対話を元にしたドリルがくっついています。どんなドリルなのかを、あえてざっくり書いちゃいますと
ドリル①ユキさんとブライアンさんの対話を聞き取れるようになろうドリル
ドリル②ユキさんとブライアンさんの対話を後に続いて発声してみようドリル
ドリル③ユキさんになりきって話せるようになろうドリル
ドリル④ブライアンさんになりきって話せるなろうドリル
の、四段組の構成となっています。そして、この対話の中に、身に付けると「よく使える」表現が、詰め込まれてるってカンジです。
まあぶっちゃけると、結局のところ、③と④は、ダイアログを暗唱するくらいに覚えないと不可能なんですよ。「そのまま覚えて使える表現」を身に付けるドリルなんだから、「覚えて発声できること」がゴールになってんのは、至極当然ですね。
(※こういう発想、至極当然と書きながらも、実際、いろんな教材に、ないよね。。。だから、わけわかんない教材の使い方をして、露頭に迷う学習者が多いんだよね。。。。。)
しかしながら、そこに至るまでの、①と②のドリルが、派手ではないながら、かなり効いていると思います。
なんでかっていうと、学習者はこれらのドリルの中で、「自然に」何度も英文に触れることになるし、「自然に」何度も英文を発声することになるからです。
唐突な喩えなんですが、中学校や高校生の時の校歌とか、別に覚えようとした記憶はないけれど、なんか今でも、そこそこ正しい音階で口ずさめるって方、結構いませんか?
これの理由はシンプルに、「何度も何度も口ずさんだから」ですよね。
校歌の例と同じです。人間は、何度も出会うものは、自然に覚えるようにできているし、何度も出会ったものは、どんどん忘れないようになっていく。
こういう「自然な暗記」を、スモールステップで促してくれる、そんなドリルになっていると思います。
『英語のハノンフレーズ編』 実際どんな中身なの?
②いつものハノンドリルで重要表現を徹底練習
ダイアログドリルの後は、そこで扱われた事項から、「あいずちの打ち方」や「同意の表現」や「Can I have/get...?」のように、何事項かを引っ張り出して、それを、いつものハノンドリルで、徹底練習するって構成になっています。
ここで、『今までのハノンシリーズ』では捨象されていた、使用頻度に注目しての文法項目の徹底トレーニングとか、学校英文法からはみ出る文法の徹底トレーニングとかができる、そんな構成になっています。
恐縮ながら、横山先生のTweetの表現を借りながら抽象的にカッコよくまとめると、今までのハノンは『絵具を、いつか使うその時のために、利用頻度に関わらず、全色揃える』ものだとしたら、『フレーズ編』は、『特に使う色を徹底トレーニングする』って感じですね。
今までのハノンシリーズの良さがわかっている方に、ここを多く語る必要はないでしょう。サッとこの意味段落を終わらせ、次に行きます。
『英語のハノンフレーズ編』 文句をつけるなら?
両論併記がモットーです。失礼を承知で、これ、やっておきましょう。
(無骨なレイアウトとかは、失礼ですし、もう書かなくていいでしょう。)
思ったことその1:ダイアログドリルの「勉強法」が、ちょっとわかりづらいかも?
はい、ダイアログドリルの構成を、今一度下にコピペします。
ドリル①ユキさんとブライアンさんの対話を聞き取れるようになろうドリル
ドリル②ユキさんとブライアンさんの対話を後に続いて発声してみようドリル
ドリル③ユキさんになりきって話せるようになろうドリル
ドリル④ブライアンさんになりきって話せるなろうドリル
これ、私(※リアルかつ客観的な実力の指標として、英検1級一次は大丈夫だが、二次には結構不安が残るくらいニキ)は、「1ドリル1日で最低4日はかける。②③④はもっと時間かけてもOK。」と捉えてやっていました。
これくらいのことを、明示しておかないと、とくに『初中上級』を使わないで『フレーズ編』に入った方の中から、『①~④まで全部1日でやろうとして秒で挫折するマン』が大量発生する気がします。
(どっかにかいてあったらすみません)
思ったことその2:対象レベルはどこなのか
前提として、『ハノン初級』は、「高校入試がまあなんとか平均点よりは取れるレベル」から、「TOEIC900だけど話せないってレベル」まで、マジでほとんどのレベルに対応する、アルティメットスーパー教材だったように思います。
『ハノン フレーズ編』は、これもどのレベルから始めてもいいと謳われており、おおむね同意ではあるんですが
でも「高校入試がなんとかなるレベル」の学習者が突撃したら、けっこうな割合で爆死、挫折するんじゃない?とも思います。
思い切って、「初級のUnit5までは先にやっておいてくれ」とか「初級やってないなら、大学入試はちょっと英語頑張ったとか、今ある程度英会話の勉強をしているとか、そのレベルが対象」くらい書いてあっても、よかったんじゃね?とは思いました。
以上、難癖レベルの文句でした。ご了承ください。
この記事のまとめ
①ハノン既習者には
補完として
そうでない人には
ゴール明確な
英会話教材として
やはり非常に有用!
②未履修者は
使い方ちょっと注意してね
速習するモンでは
ないよ
難癖を付けはしましたが、総評としては、非常によくできているの言葉に付きます。ハノンシリーズのさらなる発展こそ、日本の英語学習革命になりうる。そのくらいの評価であることを強調し、終わりとします。